ラインベルガーの兄弟姉妹

バイオグラフィー

ラインベルガーの兄弟姉妹マトリックス(Amalieのスペルが統一されていませんでしたので、修正しました2019/May/19)
ラインベルガーの兄弟姉妹マトリックス(Amalieのスペルが統一されていませんでしたので、修正しました2019/May/19)

　ラインベルガーの家族構成を資料・伝記で調べますとかなりばらばらです。こっちの伝記の姉があっちの資料に見当たらない。順番があれとこれではばらばら、と頭を抱える状態です。そこで各資料からマトリックスを作成し、まとめてみました。兄弟姉妹なんか別にどうでもいいではないかと思う方も多いと思いますが、どの作品に関して、誰宛の手紙で言及しているか。誰と同居していたか、など兄弟仲は非常に良好でしたので、重要なファクターだと思います。

 

参照した文献は、

  • Joseph Rheinberger / Theodor Kroyer : BIBLOLIFE (最も古い伝記)
  • Leben und Werk in Bildrn 写真でみる生涯と作品 / Carus Verlag (全集別巻第2巻)
  • Josef Gabriel Rheinberger / Harald Wanger : Eck Verlag
  • Josef Gabriel Rheinberger Briefe und Dokumente seines Lebens 生涯における書簡と資料 9巻 / Harald Wanger und Hans-Josef Irmen : Prisca Verlag

　以下順に「Kroyer」、「写真」、「Wanger」、「書簡」とします。「書簡」は主に9巻の人物索引を中心に該当箇所を検討しました。なお

『Gabriel Josef Rheinberger als Antipode des Cäcilianismus / Hans-Josef Irmen：Studien zur Musikgeschichte des 19. Jahrhunderts, Bd. 22.：Gustav Bosse』

の伝記部分は兄弟姉妹に関する記述が見当たりませんでした。今後その他の資料などで事実が判明した場合は、修正を行うかもしれません。

 

　まず、父ヨハン・ペーターの先妻マリア・ヒルチ(1828年没)との間の子供たちA群と、後妻マリア・エリザート(1829年に結婚)の子供たちB群の2群に分かれます。ただし兄弟たちはとても仲がよかったようで、実質的にA群B群の分類はあまり意味はありません。生没年は「写真」、「Wanger」、「書簡」で統一が取れています。「Kroyer」の列は名前の出現順(p.3)ですので、ほとんど参考になりません。

 

　A群に属しているのはJoh. Luzius (1822)、David (1823-1889)、Maria Josepha (1825-1861)の3人。

　B群はPeter (1831-1893)以下、Johanna ("Hanni" 1832-1917)、Anton (1834-1873)、Elisabeth ("Lisi" 1836-1867)、Josef Gabriel  (1839-1901)、Amalie ("Mali" 1842-1876)、Maria Ludwika (1848-1850)の7人。名前に引用符がある3人はそれぞれ愛称です。

　[なお、Amalie ですが、「Wanger」では「Amalie (p.11)」だったり「Amalia (p.42)」だったり、資料によってもまちまちです。マトリックス参照してください。みんなあまり気にしていないのかもしれません。ここでは「Amalie」で統一します。(2019/May/19)]

 

　問題点は、「Wanger」によると11人兄弟としていますが(p.6)、A群には4人の子供が生まれたが成人まで生きたのはDavidとPeterとしており、Maria JosephaとPeterを取り違えています(p.9)。これは生年からみて明らかな間違いです。また夭逝した長子Joh. Luziusとそれ以外の名前は見当たりませんので、「A群には4人」というのも間違っていてA群は「3人」、もしくは名前の記録のない子供がいるかのどちらかでしょう。

 

　「写真」は夭逝した3人の子供は紹介していないとしていますが、なぜかMaria Josephaを無視しています(p.29)。ほかの兄弟姉妹とは違い写真・肖像画もいっさいありません(pp.136-152)。また「夭逝した3人の子供がいる」という記述から、まずJoh. LuziusとMaria Ludwikaの二人であることは判明しています。ですので、「Wanger」がいうA群の4人目の子供がいた可能性は高いです。

 

　「書簡」ではMaria Ludwikaの名前は見当たりません。なおMaria Josephaもほかの兄弟姉妹のように「書簡」でも頻出頻度が極端に低いです。Maria Josephaは36歳まで生きたはずですが、何らかの病気に苦しんでいた模様です(「書簡」1巻 p.44)。この辺がA群の4人目の子供と混同されているのかもしれません。

 

以上の注意点を加味しながら検討を行うと、ラインベルガーの兄弟姉妹は5男5女、

  1. Joh. Luzius (1822)
  2. David (1823-1889)
  3. Maria Josepha (1825-1861)
  4. Peter (1831-1893)
  5. Johanna ("Hanni" 1832-1917)
  6. Anton (1834-1873)
  7. Elisabeth ("Lisi" 1836-1867)
  8. Josef Gabriel (1839-1901)
  9. Amalie ("Mali" 1842-1876)
  10. Maria Ludwika (1848-1850)

ヨーゼフ・ガブリエルは8番目の子供。ただしA群の氏名性別不詳の子供がいる可能性もあります。