歌劇『七羽のからす』作品20

第一幕第一場

狩人たちとフーベルト

"Schon will der Tag sich neigen,"

"一日はもうすぐ終わる"


第一幕第二場

エルスベートのアリア

"So kehrst Du wieder, stiller Herbst,"

"そう、あなたは帰ってくる、静かな秋に"


第一幕第四場

エルスベートのアリア

"Dahin ist der Erscheinung gold'ne Pracht!"


第三幕第一場

エルスベートのアリア

"Es war ein schöner Traum"

"素敵な夢でした"

 ラインベルガーの初期の作品で歌劇『七羽のからす』作品20という、作者自身のタクトで1869年に初演された歌劇があります。現在序曲の録音はCD音源及びYouTubeに音源がアップロードされていますが、そのほかはどのような作品かはさっぱりわかりません。そこでいくつかの場面を打ち込みにより、再現してYouTubeの弊サイトチャンネルに掲載してみました。序曲そのものはわりに出来がいいと思うのですが、いかんせんコンピューターによる再現は、はっきり言って面白みはありません。再現そのものに意味があるのだろうかと思うぐらいです。ですが、作品そのものに興味を持っていただく一助になれば幸いです。


 歌劇『七羽のからす』作品20はもともとはグリム童話の一つのエピソードです。モーリッツ・フォン・シュヴィント(Moritz von Schwind, 1804-1874)がこの童話を描いた絵画をラインベルガーが目にしたことが作曲の契機となります。台本は法曹家で作家のフランツ・ボン(Franz Bonn, 1830-1894)が手がけました。ボンとラインベルガーが制作のためにどのようなやりとりをしたかは資料が残されていないためわかりません。

 

 1863年の春に初稿が完成しますが、翌年ミュンヘンの宮廷歌劇場、及びカールスルーエの劇場から上演を拒否されます。また当時恋人・後の妻のフランチスカ(ファニー)との関係が立ちゆかなくなったりと、ラインベルガーは精神的に追い詰められました。彼はドレスデンで宮廷教会オルガニストに移ることを真剣に検討する事態になりました。わずかに1864年11月に序曲だけが初演できまいた。

 

 また交響的絵画『ヴァレンシュタイン』作品10を作曲・上演(1866年世界初演)し、なんとか作曲家として世間から認められます。この『七羽のからす』、『ヴァレンシュタイン』、フランチスカ(ファニー)および一部の世俗歌曲はラインベルガーの糾える人生の複雑な関係となりますので、いずれ別項で解説したいと思います。

 

 ラインベルガーは1864年から宮廷歌劇場のコレペティトールも勤めるようになり、劇場そのものや演劇を研究します。このころワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の世界初演にも尽力を尽くします。歌劇『七羽のからす』は改定をほどかされ、1868年12月に完成。この時台本はフランチスカ(ファニー)によって徹底的に書き直され、1869年5月にミュンヘンにて作曲自らのタクトで世界初演が行われました。初演に立ち会ったフランツ・ボンは自身の書いた台本とは全く姿形が変わっていることに驚いたそうです。


 左に掲げた4場の他に2場打ち込んでいるのですが、ちょっと面白くないので、公開を躊躇しています(第一幕第三場と第二幕第三場の前半のアリア)。

 

 できるかぎりミスはないようにしていますが、もし打ち込み間違いに気づいた方がいらっしゃいましたら、お知らせください。修正の際は動画ファイルのURLがかわりますので、ご了承ください。

 

 あと、ですね~、台本の内容がさっぱりわかりません。ご了承ください。もう登場人物自体がグリム童話どおりなのかも、確認してないです。つーか、どなたか台本の内容を訳していただけないでしょうか? リブレットはありますので。(第一幕第二場のエルスベートのアリアは自力で翻訳してますけど)